イトウをめぐる冒険(朱鞠内湖)
ここ数ヶ月、僕の頭の中に巡りに巡っている
「日本三大怪魚」の文字。
浪漫しか感じられないこの言葉に完全に狂ってしまった僕は
ある時は北海道のイトウを狙い朱鞠内湖へ赴き(ボウズ)
またある時は高知県のアカメを狙いに2度目の浦戸湾へ赴き(ボウズ)
ある種マゾ的な釣りをひとりで楽しんでおります。
11月某日。
3度目?4度目の朱鞠内湖。
これまでの渡船での釣行はすべて「ポイントおまかせ」にしていましたが、なんの気まぐれかこの日はまだ入ったことのない通称「イタリア」に行くことにしました。
半島の形がイタリア半島にそっくりなのでそう呼ばれるそうです。
時折雨が混じる曇天。
早朝から断続的に吹く強風が湖畔に大きな波を立てます。
うん、すごく釣れそう。
一般的に強い風が吹けば吹くほど、
湖面に波が立てば立つほど良いと言われています。
ベイトが流されて岸によるから?
水面が騒がしくなって警戒心が薄れるから?
その両方?
詳しくは分かりませんが、向かい風を受けるような形でキャストするのがセオリーなんだそうです。
使うのは買い揃えた10g〜14gのスプーンです。
ここで僕なりのスプーンの使い方のご紹介。
皆さんはその日の天候やエリア、時間帯などによって色や形状、重さを選んでいることと思います。
僕はというと、至極簡単。
アカキン一択。
トラウトの経験が圧倒的に少ない上、正直使い分けが良くわかっていないので、迷いをなくす意味でも自分の信じるカラーをひとつもっておくのは非常に有効だと思います。
時折気分を変えるためにカラーローテーションはしますが、 ベースはアカキン。だって釣れる気がするんだもの。
早朝、沖の表層でウグイか何かのアタリがあっただけで沈黙を保つ湖。
島の先端からワンドに向かってランガンしていきます。
狙うは表層から中層。目の前にあるブレイクについている魚を意識します。
正午前。
開始から5時間強が経過し、
集中力は完全に切れています。
「こりゃまた厳しそうやなー」
そんな思考を遮るかのようにその瞬間は突然訪れました。
グンっ!
ブレイクの手前でロッドに重みが乗ります
その重みでイトウであることは確信しましたが、
反面パニックに。
自分がどんなファイトをしたのか、正直よく覚えていません。
ひたすら「落ち着けおちつけ落ち着けおちつけ」を連呼していたと思います。
岸際まで寄せたところで巨体をうならし反転、抗う怪魚。
相対する頭の中真っ白のおっさん。
明らかに不利な戦いでしたが、
決死のランディングで勝負あり。
やった
僕にとってのメモリアルフィッシュは
72センチと満足のサイズ。
しばらく呆然と立ちすくむ。
そして込み上げる
やったでー!!!!
シンプルに、純粋にうれしい。
優雅に湖に戻るイトウの背びれをぼんやりと眺めながらしみじみと感じました。
「これだから釣りはやめられない」
大自然の中、貴重な体験と出会いをさせてもらいました。